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2019.12.20

「幸せになれて、自分を褒めてあげられる場」を豊中に

自己肯定感を失い、育児に孤独を感じているママが
「幸せになれて、自分を褒めてあげられる場」を豊中に創りたい

ママの働き方応援隊とはどういった活動団体?

ママの働き方応援隊は「無縁社会を解消する」という理念を掲げ、赤ちゃんとママが学校などの教育機関や高齢者施設、企業、団体などに出向き、命の大切さへの気づきといった「学び」・「癒し」・「感動」を共有し、人として一番大切なことを体感で、五感で感じとってもらう人間教育プログラムを実施しています。

純粋な感情の固まりの赤ちゃんとの、心のフィルターを外しての触れ合いは、安らぎと癒しを持たらし、情緒を豊かにしたり安定させることにつながると思います。
また、赤ちゃんの表情から感情を読み取ろうとすることは、他人の気持ちを推し量る、思いやる気持ちが芽生え、コミュニケーション力を向上させることにつながると思います。

わが子と行けば、たとえ大泣きしても、児童は可愛い!と言ってくれます。それだけで「ストレスから解放された」「子どもを生んで良かったと思えるようになった」という声をよく耳にします。

大阪豊中校を立ち上げられたきっかけとは?

ママの働き方応援隊は現在、全国に3,000人くらいメンバーがいます。大阪だけでも大阪豊中校以外に、大阪池田校、大阪中央校、大阪北校、阪神北校があります。次々に学校が立ち上がるのは、参加したママたちが自分の住むまちでやりたい、と広げていくからなのです。

私は長男を妊娠した時、産休に入るまでぎりぎりまで働いて、出産後も5か月で保育園に預けて仕事に復帰しました。でも時間に追われる毎日で、何のために仕事をしているのかがわからなくなってきて。
パートナーも毎日帰りが遅かったですし、今思えば完全に「ワンオペ育児」になっていましたね。
『なぜ子育てを全部女性が担わなきゃならないの?』
『男性は子どもができても生活が変わらないじゃない!普通に飲みに行くし!』

パートナーに優しくできなくなり、家族に優しくできなくなってしまったら…そうならないために、仕事を辞めました。でも、これまで時間に追われながら仕事と両立する習慣が付いていたので、今度は時間を持て余すようになってしまったのと、社会との隔絶に苦しみました。

3年ほど前、2人目を生んだ時にママの働き方応援隊の活動を知りました。
家にはいたくないけど、外には出たい。遊びに行くのでなくお仕事なのだから気兼ねすることないと、ママ講師としての資格をとり、メンバーになりました。

入った頃は、学校を立ち上げるなんて考えてもみませんでしたが、さまざまな現場を経験しているうちに、当時小学1年生だった長男に受けさせたいと思いました。そして、豊中で広めたいという気持ちがどんどん強くなっていきました。

子どもに対して、『人に優しくしなさい』と躾けようとしても優しさの捉え方はさまざま。言葉ではなかなか伝わりませんが体感によって、五感で感じとってもらうことによって、どの児童も自然に優しく大切に接してくれるのです。
この活動に参加しなければ3人目を産むなんてこと、できませんでした。

子育て女性を取り巻く課題とどうすれば改善できるかについてのお考えは?

女性は、母親になることによって自己肯定感が持てなくなってしまうリスクがあると思います。
私が母親になった時、まさにそんな時期がありました。
子どもを産んで世話をしてるだけで十分凄いというのに、子育てが上手くできない、家の中がぐちゃぐちゃ…できない自分にばかり意識が向いていつもイライラしている感じでした。

『十分頑張ってるんだよ!』と誰かに言ってもらわないと潰れてしまいます。
そのためには、心開ける人がいる、頼れる場所があることが大切だと思います。趣味や子育てでつながれるサークルなどから、気晴らしでいいので参加してみるといいかもしれません。

働くママの場合は、地域の中で友だちができない、というのが課題だと思います。
働いていた当時は私も地域に友だちがいませんでした。考えてみると、地域でいざ何かあった時に頼れる人がいないというのは、とてもリスキーなことですよね。
働いているママ、地域にいるママ、子育てに関する悩みはみんな同じはずだから、お互いに頼り合えたら、手を携え合えたらいいのに、と思うことはあります。

今しきりに「ワンオペ育児解消には夫婦で育児分担!」など言われていますが、いろんな家族の形がありますし、相手の仕事によっては協力してもらうのが難しい場合もあると思います。
パートナーの意識だけでなく、パートナーが働く会社の制度や風土が変わらないと難しいですよね。子育てのために会社を変わってよ!なんて言えませんし…。

パートナーに過度に期待して、そうならなかった時に失望するよりは、他に頼れるところがあるからいいよ、ママ友に助けてもらうから存分に仕事してきてよ!と笑顔で送り出す方が家庭も円満にいくと思います。
あと、ママはいろんな武器を持っています。なのに、子どもを産んで家庭に入った途端にその武器を使わなくなってしまう。それが凄くもったいない気がしています。

今までのキャリア、経験は必ず活かせるはずです。
私は前職でウエディングプランナーをしていましたので、ママの働き方応援隊の活動の一環として、ファミリー向けにブライダルイベントを企画しました。
結婚して何年か経っている夫婦が再びウエディングドレスを着て、子どももおめかしをして、記念写真を撮るというもので、スポンサーを開拓したり、参加費を徴収させていただいたことで、収益事業にできました。

あと、メンバーの中に制作会社のビデオカメラマンをしていた女性がおられますが、今で言うマタハラによって職場から疎まれるように仕事を辞めてしまった過去があります。
でも今のSNSの流行の波に乗って、動画のとり方講座で大人気講師になっています。
前職が理解のない職場だった場合、『自分には何も残っていない…』と自己肯定感がどん底に落ちたまま家庭に入った女性もいらっしゃると思います。
地域の中でも将来いつか本格復帰をするにしても、自分の武器を忘れないでほしいです。活かせる場所がどこかに必ずあるはずです。

感じている手ごたえは?

豊中校の中には、いくつかの学級があります。学級は1校区に1学級つくれて、その権限はトレーナーのみが与えられていますが、自分の住む地域で広めたい!と学級を立ち上げるトレーナーが増えました。
豊中のあちこちの地域で「赤ちゃん先生」が実施され、結果としてそれぞれの地域で校区内の学校や施設、地域の活動団体などと横のつながりができ、地域との絆が深まりました。

個人的には、豊中校メンバーと週3日くらいで夕食会をするようになりました。
うちのパートナーは帰るのが深夜。だからみんなでご飯を食べながら、お茶を飲みながら子どもも一緒にワイワイと。悩みなどを言い合える仲間ができた時に、『こんなに楽なんだ!』『一人で頑張らなくていい、我慢しなくていいんだ!』と気持ちにゆとりができました。
ママたちの輪から、ママたちの知りあいの輪へと、地域にどんどん知り合いが増えていったのも良かったです。

今後やってみたいチャレンジは?

「赤ちゃん先生」を「ママが幸せになれる場、自分をちゃんと褒めてあげられる場」として地域で定着するよう、活動を広げていきたいですね。
また、ママの働き方応援隊の活動の中で、ママの武器を仕事にして自己肯定感を持てる機会をもっとつくってあげたいです。
将来的には、メンバーじゃなくても困っている人がいたら受け入れてサポートしてあげたいと考えています。

フルタイムで働くママは日中活動ができませんので、別にメンバーにならなくてもいいのです。ただつながれたらいいな、と思っています。
私が子どもの頃は、母親がいない時は隣の家に普通に帰っていました。
そんなあたたかみのある地域社会の形成に、この豊中で貢献していければいいな、と思います。

Profile

代表 譲尾 恵子さん

Job

ママの働き方応援隊 大阪豊中校

Introduction
「無縁社会を解消する」を理念に、赤ちゃんとママが地域社会とつながり、世代を超えたコミュニティ促進につながる教育・啓発活動を実践されています。

―赤ちゃんがいると会話が成り立つ。他人との会話の架け橋になってくれて、赤ちゃんとの触れ合いを通じた他人の優しさを実感できる。それで救われるママもいるはず―
今年4月に、豊中に広めたい!と大阪豊中校を立ち上げられた譲尾恵子さんにお話を伺いました

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