Topicsトピックス

2019.12.20

子どもたちが安心・安全に生きていくために―

子どもたちが安心・安全に生きていくために―
教育×創造の力で「めぐりめぐる幸せの循環」を創りたい!

MEGURIとはどういった活動団体?

子育てに関わる人が自分らしさを失わず、「ワタシ」を取り巻くモノやコトが、幸せに「めぐり」続けるために、人と人とがリアルにつながれる機会をつくる、例えば大人も子どもも楽しめ、共感し合えるアップサイクル※イベントの企画・開催などをコアに活動をしています。

あまりタッグを組まない業種(保育士とクリエイティブディレクター)でタッグを組んでみたら、新たな視点が芽生え、社会課題を解決できるイノベーションが起こせるのではないかなと思い、2018年1月に立ち上げました。

子育てに関わる人=ママと考えがちですが、昨今、ママだけが子育てを行っているわけではありません。パパも子育てしますし、祖父母が子育てしている場合もあったり、里親や、施設の方のサポートを受けるなど、本当にさまざまな事情があって多様な子育てのカタチがあります。

私たちは、「子どもに関わる大人」全てを対象とし、結果として子どもたちの安心・安全、幸せにつながっていく社会をつくることにつながる活動を考え、実践しています。
※1サスティナブル(持続可能)なモノづくりの新たな方法論のひとつである。従来から行なわれてきたリサイクル(再循環)とは異なり、単なる素材の原料化、その再利用ではなく、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すことを、最終的な目的とする。

MEGURIを立ち上げられたきっかけとは?

私は現在、クリエイティブ関係の会社を経営していますが、ここに引っ越してきた当時は起業をする前で、まだ会社勤めでした。当然、娘をどこかに預けなければ会社に行けないのですが、認可保育園の空きがなく、途方にくれました。

ふと頭に浮かんだのが、時々オープンしていて気になっていた保育園(共同代表者の三笠さんが経営している保育園)のこと。ある日、ダメ元でお願いをしてみたら受け入れてくれて、認可保育園に移るまでの3か月間お世話になり、本当に助かりました。
一方、三笠は保育のプロフェッショナルですが、当時は地域に保育園の魅力をどのように伝えたらいいかわからず、困っていました。

私の専門はブランディングです。
強みを活かして看板や広報媒体の制作などいろんなサポートをしました。それが功を奏したのか半年で満員になり、その後、保育士増員のための採用プロモーションなど、半年間、仕事で関わらせてもらいました。

三笠は私が起業して初めてのお客様で特別な存在。仕事が終わってもお互い別れがたくなってしまって、それぞれの強みを活かして、地域のために何か役に立てることを双方がともにやっていきたいと思ったことがきっかけでMEGURIとしての活動がスタートしました。

子育て女性を取り巻く課題とどうすれば改善できるかについてのお考えは?

保育園に無事入れたらもう大丈夫!…とはなりません。その先にあるリスクを考えなければ。

認可保育園は【両親どちらか仕事が休みであれば登園不可・直帰直行が厳守(買い物はお迎えに来てから)】など、細かくルール化されている場合が多いので、働く子育て女性の多くは、自分だけの時間が取りづらい側面があります。

常に時間に追われる日々で、リフレッシュする時間がない、仕事疲れがなかなか取れない、でも育児には休みがない…家事や子育ての負担は、たとえ働いていてもママに偏りがちになっていると思います。

流行りの言葉で言うと、「ワンオペ育児」でしょうか。そのうち心も身体も疲弊してしまいます。
そうなると、親子コミュニケーション不足、虐待、いじめなどさまざまなリスクが考えられます。

私だって、イライラして些細なことで娘に腹を立てる時もありました。こういうのが積み重なって、エスカレートして、虐待につながってしまうのだろうと思います。虐待をする人が特殊なのではなく、子育てをしている人はみんなそういうリスクを抱えていると思います。

前職の職業柄、地域課題、福祉などには疎い部分がありましたが、こうした社会課題を意識し、「何とかしたい!」と思えるようになったのは、保育の現場で、いろんなママたちを見て、ママたちの悩みに耳を傾けてきた三笠の影響です。

二人でいろいろ話をして、ママのイライラがエスカレートしないためのひとつの策として、パーソナルブランディングの手法が活用できると思いました。ブランディングは本質をみて進むべき方向性や、やり方など戦略を立てる仕事です。

会社や商品のブランディング同様、「人」も同じだと。自分の本質に、原点に立ち返る。つまり、「自分らしさを取り戻す」ことから始めるのが大切だと思います。

働きたいけど子育てもちゃんとしなきゃ!とか子育てがあるからガッツリ働けない!とか。
今、抱えているいろんなことをいっしょくたにして全部やろうとするから、思い通りにならないことが出てきて些細なことでイライラしてしまうのだと思います。

優先順位とプロセス、そして協力者です。そこを考えないと、たくさんのことをこなすのは誰だって無理。まるでワンオペ育児だよ~大変!という声は耳にするけど、地域にも助けてくれる機関はあるし、夫がいるのなら夫に協力を求めないといけない。自分にかかわる関係者ともっとしっかりコミュニケーションをとることが大切だと思います。

MEGURIでは「私らしさが維持できる思考構築」として思考整理のサポートをしています。
自分らしさを追究していくパーソナルブランディングと仕事と子育てや介護などの両立をするための思考整理と2つの切り口があって、自分とは?から、どういう仕事ができるのか、現状でどんな働き方ができるのか、などを共に考えるのが、私の役割とするなら、子育てとの両立を考える時には、三笠が育児に対する的確なアドバイスを入れていくのです。

子どもの成長の不安や子どもをどう育てたらいいのか、今目の前で起きていることに、保護者たちは一喜一憂しています。それに対して適切な距離感を保ちながらお話しをしていく寄り添う姿勢をとても大事にしています。
課題と向き合い、アドバイスを受けながら思考を整理して人生のプロセスを考えてみる。少し先をみることを意識すれば、きっとイライラは軽減されると思います。

感じている手ごたえは?

MEGURIは「何かが起きた後に」ダイレクトに支援できる団体ではありませんがそうなる前に手を差しのべることはできます。
2018年1月に立ち上げてから毎月、新しい企画で計20回のアップサイクルのワークショップを行いました。延べ数百名の大人や子どもと共にクリエイションしたり、その中で子育てについての悩みごとを語り合ったりする中で、子育てに関わる大人たちがリフレッシュできる場を作り出せたと思っています。

それも、同じような仲間で集まるのでなく異なる立場、職業、環境に属している方々が関連できるような「弱いつながり」(知り合い)をたくさん増やしていきたいと考えています。今ある強いつながりや友人よりも、弱いつながりの知り合いを通じた方が課題解決(職がみつかったり、友人には知られたくない悩みが解決する)の可能性が高くなると考えています。

常連さんばかりの濃い空気感にしないよう常に配慮していますので、誰でもお気軽にご参加いただきたいです。
また、アップサイクルイベントのために廃棄物を提供してくださるメーカー・企業様も現在では、数十社となりましたし、地域の祭りやさまざまなイベントの実行委員会からお声がけいただいて、活動内容も活動の場も広がっています。

今後やってみたいチャレンジは?

将来的には、例えば市内の空き家を活用してティンカリング※2ができたらいいな、と考えています。
その場所には、廃材があり、技術を教える人がいて、大人も子どもも集まっていろいろ考えながらモノをつくる。そこには保育園も、老人施設もあって、多世代交流の場にもなって。海外にはそのようなモデル事例がいくつもあるのですよ。
だから日本でもそういうものを創れたらいいな、と思っています。

ハンドメイドアクセサリーや雑貨など小物だけじゃなく、いろんな分野のプロダクトを一般の人がつくれるようになってモノづくりイノベーションが巻き起こせたら、最終的には廃材を提供いただいた企業様へも恩返しができるのではないかな、と思いますね。

AI(人工知能)によって世の中がどんどんシステム化、自動化されていく中、自分で考え、自分で行動を起こし、新しいものをつくるというのは、最終的には人間に残される領域だと思うので、子どもたちや子どもたちに関わる大人にアップサイクルを通じて、豊かな心を育んだり、自分らしさを改めて見つめ直してもらえたらいいな、と思います。
私たちの活動を通じて、アップサイクルがもっと各家庭や地域に根付き、一人ひとりが環境について考え、それによって、よりよい未来をつくろう!という意識を高めていく―そのサポートができたらいいですね。

※2家財道具を修理してまわった流しの修理屋(ティンカー)を語源に持つ言葉で、さまざまな素材や道具、機械を「いじくりまわす」こと。 デザインセンスや問題解決の力を高めることができる手法として近年注目されています

Profile

代表 榎原 理絵さん/クリエイティブディレクター(右) 代表 三笠 真里さん/保育士(左)

Job

MEGURI

Introduction
保育士とクリエイティブディレクターの異色のコラボにより教育(エデュケーション)×創造(クリエイション)の2軸でさまざまなイベントやワークショップを展開。その中で子育てに関する悩みを解消したり、自分らしさの再発見や価値観、これからの生き方を一緒に考えたり。
常に新鮮な情報にめぐり会える機会やつながりの場を、提供していらっしゃいます。
今回、榎原理絵さんにお話をうかがいました。

一覧へ戻る