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2019.11.30

人生100年時代の今だからこそ活きる「学び直し」という考え方。

人は生涯学び続けることができる―その概念を体現する「リカレント教育」についてどこまでご存知ですか?

再就職への不安を解消し、背中をそっと押してくれるのが「リカレント教育」

現在、結婚・出産後、継続して働く女性は増えています。
また、出産でいったん仕事を辞めたけれど、再び社会で働きたいと希望する女性も増えています。
しかし、社会は刻々と変化するもの。
社会の変化に伴い、働き方も変化しています。
例えばインターネット、SNSの普及・発達に伴い、情報通信機器等を使いこなすことで時間や場所の制約を受けずに柔軟に働くことができるテレワークや、広報人材として多くのフォロワーを持つインフルエンサー雇用など、“個の能力”を活かして働くワークスタイルが一部企業で導入され始めています。
どんどん多様化する働き方、スピード社会…そんな情報がテレビなどの媒体で報じられるたび、働きたいと考えてはいても、不安を抱いてしまうことでしょう。

いったん仕事を離れた女性の不安は、多岐にわたります。例えば

「ブランクのある私が仕事についていけるのだろうか?」
「専業主婦を長くやってきて何をしたいのかよくわからない。何かできる自信もない」
「子育てや家事をしながら仕事がちゃんとできるのだろうか」
「仕事のために家族に迷惑をかけるのではないだろうか」

などなど。

そんな女性たちを大学などの教育機関が受講生として受け入れ、キャリア形成支援、職業能力育成を行う「リカレント教育」という教育システムが注目されています。
もともと「リカレント教育」とは、働くようになってからも個人が必要とすれば教育機関に戻って学ぶことができる教育システムのことを言いますが、日本の場合、仕事のために必要な技術や知識を学ぶことや、仕事だけではない生涯を通じた生きがいのための学習も含む言葉として使われていました。
2年前の2017年11月に政府が「人生100年時代構想会議」の席上で「リカレント教育」の拡充と財源の投入を宣言したことがきっかけとなり、現在では再就職を考える女性のための学び直しの機会として、「リカレント教育」が大学のみならず、男女共同参画センター等にまで広がっています。
「リカレント教育」という言葉は少し堅いイメージがするかもしれませんが、離職した人の職業ブランクなどさまざまな不安を解消し、背中をそっと押してくれるのが、「リカレント教育」だと私自身は考えています。

一時保育付きなど、育児中の女性が転職やキャリアアップのために集中して学べる学習環境を整え、就職サポートまで充実

大学が行う「リカレント教育」は、育休中の女性に向けての「女性リーダー育成コース」や「仕事復帰・起業コース」から自分にあったコースを選べる大学もあります。また、科目以外にも就職準備のためのサポートとしてキャリアカウンセリングやグループカウンセリングを受けることができる大学もあります。
期間は大学によっても違いますが、一般の大学の半期授業と同様の場合が多いです。
内容は、金融論やキャリアデザイン論など一般教養の授業と、企業会計やパソコン教室、ロジカルライティングなど働きだして実務に活かせる授業などから選択できます。
また、子どもを預けて安心して学習に取り組めるよう一時保育付きの大学もあります。

受講メリットは大きく3つあります。

一つ目は、専門知識を持った大学教員が授業を行うことによるクオリティの高さです。大学の講義室での授業となるため、集中して学習に取り組める環境が確保されます。

二つ目は、立場や年齢、境遇は違っていても「また働きたい」と思っている、同じ志、目標を持った仲間がたくさんでき、自分の力になってくれるということです。
一緒に学ぶ間はもちろんのこと、卒業してからも励まし合える仲間。悩んだときや何かやりたいと思ったときに、親身になって聞いてくれる、協力してくる温かな繋がりが、あきらめそうになった自分に頑張ろうと思える力をくれます。

三つ目は、「リカレント教育」を行う大学等がハローワークや中小企業家同友会など、就職支援を行う組織と提携していることで、具体的な求職活動など次のステップに進みやすく、スムーズな就労につながりやすいということです。

人生100年時代にすでに突入しています。
子育てや介護が一段落ついても、まだまだ人生は長いのです。
家庭を大切にしながらも、社会で自分の力を発揮する生き方を意識してみませんか?

理想の生き方に向けて一歩を踏み出すために背中を押してくれる「リカレント教育」。
今後は大学のみならず、さまざまな女性支援機関でサービスが拡充していくことが考えられますので、ぜひアンテナを張っておいていただければと思います。

いざ、社会に一歩を踏み出せば、新しい責任や悩みも出てくるでしょう。
でも、それ以上に誰かの役に立ち、「ありがとう」といってもらえる喜び、難しい仕事を乗り切った時の達成感など、あなたの人生をより納得感の高いものにしてくれます。そして、何より女性が経済力を持ち自立することは、女性本人にとっても家族にとってもさまざまな人生の選択肢の幅を広げ、安心して豊かに人生を送ることにつながることでしょう。

Profile

布谷 由美子

Job

(株)NOTICE 代表取締役
(人財育成・組織開発コンサルタント事業 キャリア開発事業) 
京都女子大学キャリア開発授業非常勤講師
追手門学院大学キャリアデザイン論講師
神戸女学院大学キャリアカウンセラー
ひょうご仕事と生活センター外部相談員

Introduction
民間企業を退職後、宝塚市男女共同参画センターにて、女性活躍推進専門員として携わったことをきっかけに多くの女性たちの悩み相談対応や活動支援に従事。その後、男女問わず、自分らしい生き方・働き方を考えるための支援活動へとフィールドを拡大、特に企業における女性の能力開発・就労支援に力を注ぐ。
2012年、(株)NOTICEを設立。自治体や企業でワーク・ライフバランス推進や女性活躍推進のためのセミナーやコンサルティングを実施するかたわら、京都女子大学・神戸女学院大学・追手門学院大学等に於いて、大学生に向けてのキャリア開発授業の講師を務めるなどキャリア形成に係る多くの啓発実績を持つ。

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