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2019.09.12

がらりと変わる日本の教育
勉強できるだけの子では意味がない時代に!

2020年、日本の教育の70年ぶりの大改革といわれる「新学習指導要領をスタートにぜひともママたちに伝えたいこと

我が子はもちろん、未来を担う子どもたちを複雑化、高度化する社会の変化に対応できる人材に育てなければなりません。

2020年に小学校からスタートして、2021年に中学校、2023年に高校に導入される新しい学習指導要領※1。
英語教育、プログラミング教育、道徳の教科化・・など、学校現場に様々な新しい動きがあることを聞いたことがある方も多いと思いますが、ぜひ知っておいていただきたい最大のポイントは、これまでの「何を知っているか・できるか」から、知っていること・できることを「どのように活用できるか」という能力が問われる点です。

つまり、学校での学びは、従来の『知識・技能獲得』に加え、覚えたこと・知っていることを、どんな時にどう生かすか、といった『資質・能力育成』重視の学びに変わるということなのです。

今回の『資質・能力育成』重視の改訂について、産業界=企業は「大納得!大歓迎!」という風潮です。なぜならば、産業界は、社会で必要とされる資質・能力―例えば、思考力・判断力・表現力、さらには行動力・コミュニケーション力など-が備わった人材を求めているからです。

AI(人工知能)の利用に代表される次なるIOT時代※2を目前に、ますます複雑化、高度化する社会の変化にあっても、自身に与えられた役割遂行のため、状況に応じてその知識・技能を効果的に活用することができる、そんな次世代人材を、異なる文化や価値観をもつ多様な人材が協働しながら育成する必要があります。そのためには、これまでの延長線ではない「教育のパラダイムシフト(転換)」が不可欠だったのです。
70年ぶりの教育大改革の背景にはこうした事情がありました。

30年先の2050年頃の社会を見据えた教育の在り方が示された今回の『学習指導要領』は、日本の未来をつくる新たな礎を築くための羅針盤ともいえます。

※1 学習指導要領:全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、 
   文部科学省が学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めてい
  るもの。
※2 IOT(Interneto of Things)別名:モノのインターネット
   あらゆるものがインターネットを通じて接続され、モニタリングやコントロールを可能とするといった
  概念・コンセプト

『学習指導要領』とは何かを知りましょう。

これまで日本の学習指導要領は概ね10年に一度改訂されてきました。
例えば現在50代以上の人は、昭和33年(1958年)と昭和43年((1968年)に改訂された学習指導要領で学びました。
当時のめざましい生活向上、経済・文化の発展や社会情勢の進展等を踏まえ、教育内容の充実向上が求められ、授業内容と授業時数の両面で量的にピークを迎えたのはこの時期でした。

一方、現在30代の人は、「社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の育成」という新しい学力観がうたわれた平成元年(1989年)改訂の学習指導要領で学びました。
ある程度の物質的豊かさを得ることができた日本は、21世紀をめざして社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の育成に舵を切ったのです。生活科や総合的な学習の時間といった教科以外の学習時間が新設されたのはこの学習指導要領からです。

このように学習指導要領は、その時代、その時代で、「近い未来」を想定して改訂されています。

今、日本の社会、そして世界はどのように変化していて、これから先さらにどのように変化するのでしょうか。2011年8月にデューク大学教授のキャシー・デビッドソン氏がニューヨークタイムズのインタビューで語り、大きな話題になったある予測があります。

「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時(つまり2030年ごろ)に今は存在していない職業に就くだろう」

というものです。
科学と技術の発展、地球環境、エネルギー、グローバリゼーション…。未来は、私たち現在の大人が誰も経験したことのない世界になることは間違いありません。そんな激変する未知の時代を生きる今の子どもたちは何を身に付けておかなければならないのでしょうか。
「何を知っているか・できるか
というこれまでのように教科書の内容を覚え、それをテストでどれだけ間違いなく答えられ学力に加え、その知っていることやできること活用するための能力
が必要で、中でも重要な能力が『思考力・判断力・表現力』です。

知識・技能や資質・能力は学校教育だけでは育成できません。
家庭・学校・地域など、社会との連携が求められています。

新しい学習指導要領は2020年から小学校、2021年から中学校、2022年から高校で順次導入され、新しい授業、新しい学びが展開されていきます。その、新しい授業、新しい学びによって、子どもたちは「未来を創造する」ための資質・能力を備えた人材として育成されるのです。
では、それは誰によって実現されるのでしょう。

そもそも、教育は学校だけで行うのではありません。
家庭教育・学校教育・社会教育の3つが連携することで、新指導要領がめざす「未来の創り手」の育成につながるのです。

このように社会・学校・家庭それぞれに課題があります。
家庭教育をみると、いろいろ気になるキーワードがズラリと並んでいて不安を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、パートで勤めるようになれば、子どもと接する時間が減ってしまうから教育上、子どもにとって良くないのでは?と思っていませんか?社会は常に変化しています。未来を生き抜く子どもを育てるためにも、親、特に母親が就労などで社会参画し、社会の現実を実感していることはとても大切なのです。子どもが小さいうちは母親は家庭にて子育てに専念するのが一番というわけではありません。なぜならば母親であったとして親は育児、教育のプロフェッショナルではないのです。

新しい教育の時代においては学校⇔家庭という関係性から一歩踏み出して、社会とのかかわりを意識しておくことが大切です。
あなた自身が社会や地域での役割を担いながら、日々さまざまな出来事にぶつかり、考え、チャレンジする姿を見て子どもは育つのです。

社会とかかわるということは、社会が求める資質・能力を仕事や地域活動などを通じて実践で身に付け、発揮する機会をもつということなのです。
子どもにとって大切な母親であるあなたは、社会のとっての大切な人材でもあるのです。だからこそあなた自身のことを考え、判断して、行動することを大切にしてほしいのです。そのためには社会、そして自身の未来について意識をもってほしいのです。

Profile

若江 眞紀

Job

株式会社アクセプト 代表取締役
株式会社キャリアリンク 代表取締役

Introduction
場戦略により企業のマネジメント戦略、マーケティング戦略の策定・実施を総合的にサポートするクリエイティブ・コンサルティング事業を展開し、現在も活動中。
2児の母でもあり、米国での出産を機に現地の保育事業にかかわる。
子育てを通し、日米の教育に同時に触れた経験から日本の教育に課題を感じ、1991年に保育・教育分野に特化した株式会社キャリアリンクを設立。
企業の教育CSRや官公庁・自治体の教育施策への戦略的なコンサルティング・コーディネーション事業を通じて、公教育改革をメインテーマに産業界と教育界をつなぐ次世代育成に取り組む。

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