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2020.01.1

どんな変化の中でも、自分らしく生き生きと

生涯における社会変化、環境変化によってその生き方が大きく変化する女性に対して様々な角度から支援します。

「ゆるん」とはどういった活動団体?

志水:
平たく言うと、これから何かやりたい!こんなことをやりたい!という方のサポートを行う団体です。
女性の人生は取り巻く社会や環境だけでなく、年齢(時期)に伴う身体の変化によって自身のライフスタイルが大きく変わっていきます。
その中でも『いくつになっても、いつの時代も生き生きと』“なりたい、楽しみたい”という気持ちを大切にしてほしいです。

ゆるんでは、そんな女性の『自分らしさ』を表現できるように、サポートできればと考えています。
キーワードは「女性」ですが、女性だけにフォーカスするのではなく、ジェンダーフリーを軸に展開しています。女性の抱える問題はパートナーが絡むケースも多いので、男性に対する啓発活動なども行っています。

「ゆるん」を立ち上げられたきっかけとは?

高木:
もともと15年くらい前、DV被害者の方の自立支援の仕事に3年ほど関わらせていただきました。
私自身もDVの被害を受けいろんな支援、そしてたくさんの方に助けられ、そのご縁がつながり支援活動の仕事に就いたのです。シェルターへ避難して来られた方の新居を探す準備支援、弁護士・裁判所での手続き同行支援等をやっていました。

でも、せっかく避難してこられても、また家に戻ってしまうDV被害女性は少なくありません。
そんな状況になった時は「救えなかった…」と、思うジレンマに苦しみました。
「DVを受けている人なんて周囲にいない」と思っている方がほとんどだと思いますが、私が経験を話すと、「○○ちゃんとこ、そうやわ!」という具合に次々と話が出てきたりします。

『DVとは、どういうものか』 が正しく理解できていなければ、周囲も気が付かないし当事者はもっと気付かないのです。
痣ができてもDVと思っていない。暴力や暴言があっても「これは自分が悪い」、と思い込んでしまうのです。それが普通の感覚になってしまい、自立する力をそぎ取られているので、戻ってしまうのです。家に戻られてしまうと、私たちは手が出せない。そこがネックだったのと同時に、「ゆるん」を立ち上げるきっかけにもなりました。

「対象女性が家に戻ってしまってからも支援ができないだろうか、繋がってさえいられたら。」そんな考えを抱きながら、私もまたステップアップしていけるような「何か」をしたいという気持ちをずっと持っていて、長年いろいろ試行錯誤しているうち、志水との出会いがありました。

志水:
世の中にはDV、虐待、悲しいニュースがたくさん流れています。
私が子どもだったころと比べると怪奇な事件、子どもが犠牲となった事件が多くなったと感じていました。
私はリラクゼーションサロンを経営していて、Fumi Fumi®という足を使ってカラダをほぐしていく施術をしています。
「FumiFumi®って?」と思われる方が多いと思いますが、例えば子どもの頃にお父さんの背中の上に立ち、『ふみふみ』と足踏みをしてマッサージをした経験はありませんか。父にとってはマッサージ効果で気持ちよく、私は背中のアンバランス感を遊びのように楽しんいました。あれです。

子どもを産み、親になった私からは逆転の発想が生まれました。
足で踏むことで距離が取れ、思春期を向かえた子どもたちや落ち着きを迎えたパートナーともお互いに程よいパーソナルスペースを保ちながらスキンシップがとれる。
スキンシップはとても大切です。増えている悲しい事件の原因の一つには『コミュニケーション』不足にあるのでは…と。高木同様、何かサポートできることはないかと考えていました。

『触れているだけで伝わるものが必ずある』と信じ、FumiFumi®の特徴を生かした家族のコミュニケーションツールとして、ワークショップの開催など一人で活動していました。FumiFumi®は高木自身が、とても気に入ってくれています。娘さんにふみふみされたりするのが、うれしいそうです。
高木との出会いで別々にやるより、それぞれの強みを活かして一緒にやることで『よりよくなる!』と意気投合し、コラボレーションをすることになりました。

高木:
これまでにさまざまな女性たちと知りあい、いろんな視点から関わり応援することで共にステップアップする様子をきちんと形にして、そして記録していきたいと思いました。
またステップのひとつとして情報提供ができる環境を整えていきたいと考えた時、「法人化した方がいいね」となり『特定非営利活動法人 ゆるん』 を立ち上げました。

『女性を取り巻く課題』をどうすれば改善できるかについてのお考えは?

もし何か課題を抱えているとするなら、それに『本人が気づく』ということが一番重要なことだと思います。たくさんの女性たちを見てきましたが、『問題(DV、虐待、貧困等)』を問題と捉えていない人が意外に多くいるのです。

異常な状態にある人が自身の抱える問題に気づくきっかけとなるのは、他者との交流だと思います。さまざまな交流から、それぞれの問題に気付き、そこで初めて「誰かに相談してみよう」となるわけです。

『ゆるん』でもきちんと対応できる機能があります。交流を通じてできた友だちに相談することで、周りが気付いてあげることができるかもしれません。また女性を取り巻く課題はさまざまで、複雑に絡み合っています。一人を支援しようとしたとしても、いろんな支援が必要になるケースもが多々あります。

『ゆるん』を立ち上げる時に、「DV、虐待…何か活動の柱をひとつ決めた方がいいのでは?」と周囲から言われましたが、「〇〇問題」と限定してしまうと、その人がそれを問題と思っていないとすれば接点を持てなくなります。本当は他に問題を抱えていて、支援してあげられるかもしれないのに。

尖らないことに尖ろうということで思い切って間口を思いっきり広くして、相談対応、交流の場の提供…人それぞれの何らかのニーズや課題をキャッチできるような体制を整えています。

感じている手ごたえは?

 
「深刻な問題ってわけじゃないけど、ちょっと話を聞いてほしい」というニーズは女性の場合、多いと思うのです。長年LINEや面談でずっと相談対応をしている人がいるのですが、『ゆるん』関係者との繋がりが増えたことで引きこもりがちだったその人自身が、外に目を向けることができるようになりました。また、色々な障害を乗り越え、無事に高齢出産した方もあり、彼女は経験をコラムに書いてくれています。

弁護士やシェルターなどに繋ぐ事例も起きています。
課題を抱えた当事者だけでなく、例えば周囲の人が問題に気付いて相談してくださるケースも出てきました。支援すべき当事者を支えている人を支えるワンクッション置いたスタンバイチームのようなバックアップ体制ができたと思います。
また、はじめは参加者もしくは相談者としてつながった人が、その後、担い手として関わってくれるケースも増えました。女性はいろんな強み、武器を持っています。

『ゆるん』のサイトでコラムニストとして参画してもらっているケースもあります。
つながった方々の過去の自分の課題、乗り越えた経験を発信することは、同じような悩みをもつ人への身近なアドバイスになります。

今後やってみたいチャレンジは?

チャレンジになるかわかりませんが。「今後、何かをやってみたい」と思う女性に、直接的なサポート、間接的であれ『やってみたい』 を 『(ゆるんと)やってみた』 になるような方が増えてほしいです。
『ゆるん』を通じたかかわりが、さまざまな人たちのやりがいや糧になって今後のキャリアアップにつながればいいと考えています。

私たちも『やってみた…』の進行形です。
『やってみた』になるように、2019年10月から『卵巣がんの啓発活動をしたい』という方バックアップをするという新しいプロジェクトが始まっています。

「ゆるん」でも性教育などの啓発活動をしていますので、それに絡めて啓発など支援活動ができるのではないかと考えています。

昔は既婚者で子育て中だと、働くことについてわざわざパートナーに「働いてもいい?」とお伺いを立てなくてはなりませんでした。今は働くのが当たり前、というより働かないと将来的に安定した生活ができない時代です。そう!時代はどんどん変化しているのです。

「ゆるん」のネーミングの由来は、ゆるゆるの「ゆるん」。固定概念やルールに縛られず、社会の変化に合わせて形を変えていくような柔軟性を大切にしたいという思いが込められています。
私たちはこれまでさまざまな課題に直面し、乗り越えてきた当事者でもあります。リアルに具体的にアドバイスができますので、その強みを生かし、今後も、女性を取り巻く課題解決、子育て支援、大人同志のつながり、介護までその人の人生に寄り添うトータルなサポートをしていきたいですね。

Profile

理事長 志水 久容 さん

Job

特定非営利活動法人 ゆるん

Introduction
「女性の生涯は社会、環境などからとても影響を受けやすい。その渦中であっても笑顔でいられるように」との強い思いから、ひとつの点に捉えず、いろんな方面からアプローチし、さまざまなジャンルの女性とのつながりから女性の自己表現、自己実現を応援されている『特定非営利活動法人 ゆるん』。
理事長の志水さん、副理事長の高木さんにお話を伺いました。

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