Columnコラム

2020.02.25

データでみる・まなぶ

多くの企業が進める「働き方改革」の一環としての「柔軟な働き方」について知ろう。

経済産業省が平成30年に出した資料(以下グラフ)によれば、日本は少子高齢化に伴い、2050年までに生産年齢人口の減少が今後加速するという予測がされていることがわかります。

生産年齢人口が減少するということは、国からの保障である「社会保障制度」に大きく影響します。つまり将来、私たちはもちろん、子どもたち、またその子どもたち、つまりあなたにとって孫にあたる存在がきちんと年金を受け取り、安心して暮らすことができるか―?ということに関係してくるのです。

生産年齢人口の減少を食い止めるため、企業においては高齢者継続雇用制度の見直しや中途採用の拡大、女性の積極的雇用など「人生100年時代に対応した生涯現役社会の実現」としての雇用改革のほか、などさまざまな改革が進められています。
しかし企業にとって最も大きな課題は、労働力の中核をなす15歳以上65歳未満の人口の減少という状況下で優秀な人材を確保していくこと。

そのため、従来の企業規定にとらわれない「柔軟な働き方」を認めていこうという動きが活発化しています。
「柔軟な働き方」とは一般的には「労働時間と勤務場所の自由度の高い働き方」とされています。

従業員個々の事情に応じて無理のない働き方を選べるというのは、「従業員の育児や介護による離職を防ぐ」「遠隔地の優秀な人材を雇用する」「災害時に事業を継続しやすくする」「仕事の合理化・効率化」など、従業員だけでなく企業にとってもメリットがあることから、導入を進める企業が増えています。

具体的にどんな働き方があるのでしょうか。次より代表的な事例をご紹介します。

将来人口の予測
●2050年に日本の人口は約1億人まで減少する見込み。
●今後、生産年齢人口比率の減少が加速。


(出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」、総務省「人口推計(平成28年)」
より経済産業省作成)

●テレワーク

テレワークとは「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」のこと。Tel(離れて)とWork(仕事)を組み合わせた造語です。要するに本拠地のオフィスから離れた場所で、ICTをつかって仕事をすることです。

テレワークは働く場所で分けると、自宅で働く在宅勤務、移動中や出先で働くモバイル勤務、 本拠地以外の施設で働くサテライトオフィス勤務があります。

在宅勤務は、所属する勤務先から離れて、自宅を就業場所とする働き方です。就業形態によって、雇用型テレワークと自営型テレワークがあります。
在宅勤務というと、全く出社しないで、毎日自宅で仕事をするイメージを持つ人も多いと思います。しかし、日本で在宅勤務制度を導入している企業では、週1~2日の頻度で実施する場合が一般的です。

最近では、一日の一部を在宅勤務で行う、「部分在宅勤務(部分利用)」を導入している企業も少なくありません。子どもの学校のPTAに出席する場合や役所への手続きをする場合など、半日休暇や時間休暇と組み合わせることにより、従業員の利便性が高まります。

また、早朝に海外とのWeb会議をして、子どもを保育園に送ってから遅めの出社をするという働き方もできます。
モバイル勤務は、移動中の交通機関や顧客先、カフェ、ホテル、空港のラウンジなどを就業場所とする働き方です。

営業職など頻繁に外出する業務の場合、隙間時間・待機時間に効率的に業務を行うことができます。また、直行・直帰を活用すれば、わざわざオフィスに戻って仕事をする必要がなく、ワーク・ライフ・バランス向上にも効果があります。
サテライトオフィス勤務は、本拠地のオフィスから離れたところに設置した部門共用オフィスで就業する施設利用型の働き方です。サテライトオフィスには専用型と共用型があります。

専用型は自社や自社グループ専用で利用するサテライトオフィスです。営業活動中や出張の際に立ち寄って利用する、在宅勤務の代わりに自宅近くのサテライトオフィスで勤務する、などの働き方があります。自社の事業所の中に社内サテライトオフィスを設置する場合と既存の事業所とは別に設置する場合があります。

共用型は、社内専用ではなく、複数の企業や個人事業主が共用するオフィスです。最近ではシェアオフィスまたはコワーキングスペースと呼ぶ場合もあります。当初は、フリーランスや起業家の利用が多かったのですが、最近は企業がこれらの施設と契約して、従業員に利用させるケースも増えつつあります。

国土交通省が2016年に実施した 「平成28年度テレワーク推進調査」 によると、共用型サテライトオフィス(テレワークセンターともいいます)は、全国で1,904カ所あります。東京都に624カ所(33%)、政令指定都市に622カ所(33%)となっており、首都圏および大都市での立地が多いことが分かります。
出典:厚生労働省 テレワーク総合ポータルサイト

フレックスタイム制

2019年4月、働き方改革の一環として、フレックスタイム制に関する法改正が行われました。
一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働期間を自ら決めることのできる制度。労働者は仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことができます。
労働者にとっては、日々の都合に合わせて、時間という限られた資源をプライベートと仕事に自由に配分することができるため、プライベートと仕事のバランスがとりやすくなります。

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
    働き方改革関連法解説(労働基準法/フレックスタイム制の改正関係)
    「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」

フリーアドレス

職場内での柔軟な働き方の一環として「フリーアドレス」があります。
「フリーアドレス」とは、職場で社員一人ひとりに固定した席を割り当てず、在社している社員が仕事の状況に応じて空いている席やオープンスペースを自由に使うオフィス形態、あるいはそうした制度を活用して柔軟かつ効率的に業務を進めるワークスタイルをいいます。

「フリーアドレス」は和製英語で、米国では同様のコンセプトをノンテリトリアルオフィス、シェアードオフィス、ホテリングオフィスなどと呼びます。

出典:weblio辞書「人事労務用語辞典」

その他、社員の視野を広げることによる本業への還元、外部ネットワーク構築等の狙いから、副業・兼業など多様な働き方を認める企業も出てきています。

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